電荷移動パラメータのDFT計算

有機ELや有機薄膜太陽電池などのデバイスの効率は、その有機半導体が持つキャリア移動度に大きく依存します。 キャリア移動度を理論から見積もるには、移動積分やサイトエネルギーなどの主要な電荷移動パラメータを、 構成有機分子の電子状態から決定する必要があります。

我々は、長距離補正(LC-)密度汎関数理論(DFT)の距離分割パラメータを、 有機半導体の構成分子に対して非経験的に最適化することで、 分子間の電子・ホール移動積分をDFTの軌道相互作用として、 高精度かつ効率的に求めることができることを提案しています。

ホール/電子 移動積分データセットであるHAB11とHAB7-に対してベンチマーク計算を行ったところ、 非常に時間がかかる結合クラスター法や多参照摂動理論法を用いた結果より、 我々が提案した手法が良い精度の結果になることを報告しました。

鬼頭 宏任         (きとう ひろたか)
鬼頭 宏任 (きとう ひろたか)
エネルギー物質学科 准教授

計算機シミュレーションから、太陽電池や光合成の光電エネルギー変換機構を量子力学的に理解することを研究の主要テーマにしています。