タンパク質中の電子トンネル現象

概要

光合成や細胞呼吸などの高効率な生体エネルギー変換に関与する電子移動反応は,電子がタンパク質中をトンネル移動することによって実現される.タンパク質中の電子トンネル現象は,分子生物物理学や量子生物学のターゲットとして古くから研究されてきたが,(1) タンパク質中に特別な電子トンネル経路が存在するか? (2) タンパク質で非弾性な電子トンネル現象はおこっているか?など,未解決の問題が残されている.本稿ではこれらの問題に関連して,筆者らが量子化学計算と分子動力学シミュレーションを用いて行った研究について紹介する.

収録
アンサンブル Vol.26 Num. 2, pp.150–157 (2024)
鬼頭 宏任
鬼頭 宏任
エネルギー物質学科 准教授

計算機シミュレーションから、太陽電池や光合成の光電エネルギー変換機構を量子力学的に理解することを研究の主要テーマにしています。